反省はしている。

妄想・性癖・思い込みを色濃く含んだ不甲斐無い創作物集です。
充実した無駄な時間を過ごしたい時に。

youtubeで楽曲挙げたりFacebookやってたりなんかもします。
各サイトで『キジマタク』を検索頂ければニョロっと出てくるようです。

*お知らせ 『ベリンバウが聴こえる』書籍化決定!!

25の頃、思い立って書き上げたオカルトSFミステリー、『ベリンバウが聴こえる』
この度色々と紆余曲折・魔改造あって来年上旬株式会社文芸社様より全国の書店にて発売することとなりました。


内容としましては、もう15年位前に流行った有名なオカルトネタ、サンチアゴ航空513便失踪事件をモデルに、コレ、実際起きたらどうなるのか・・・ってのを妄想して作り上げた作品になっています。


当サイトにも編集前の作品をUPしていたのですが、諸事情(著作権の問題上・恥ずかしい誤字脱字の大量発覚・少しでも私腹を肥やしたいッツ!!)により誠にご勝手ながら削除させて頂きました。


替わりにと言ってはなんですが、冒頭に新しく作らせて頂いたゼロ章、まえがきを付記させて頂きます。
もし、この雰囲気、内容に興味を持って頂けましたら、各書店・ネットにて是非買ってっつ!御願いしますっつ!


■ベリンバウが聴こえる。
ーーーまえがきーーー。



ポルトアレグレ空港上空に突如現れたロッキード機。
管制塔の許可も得ず滑走路に着陸したそいつを不信に思い駆けつけた俺達はとんでもない光景を見ちまったんだ。
パイロット含む機内の乗員乗客92名に生存者無し、信じられない事に彼等は全て白骨化し死亡。
きっと全員死後何年・・・いや、何十年以上経過しているであろう事はそのテの知識に疎い俺でも充分わかった。
その後フライトレコーダーの記録から、問題の機は35年前の1954年9月4日、旧西ドイツのアーヘン空港を経ちそのまま消息不明となっていたサンチアゴ航空513便と判明した。
あん時の独特の臭いは何年経っても忘れる事が出来ねぇ・・・。


「俺の知ってる事はそんなもんだ。結局アレは一体何だったんだろうな。」


そこまで話して男は目の前に出されたコーヒーを一気に喉の奥まで流し込んだ。
男の前で黙って頷きながらメモを取るスーツ姿小柄の初老の男、そしてそれとは対照的に白のシャツから鍛え上げられた屈強な浅黒い腕を覗かせる大男。


「取材にご協力感謝致しますダニエルさん、ではお約束のお金、確かに振り込ませて頂きますよ」


彼自身のメモに充分な成果を得たのだろう。ペンの裏で軽くテーブルを二・三回トントンっと叩き初老の男は口を開いた。


「ダニーで良いよ、俺も仕事を辞めて困ってた処だったからな」


大男は微笑んで初老の男に握手を求めようと手を差し出すが、彼は思い出したように彼の眼鏡を拭くことでやんわりと拒絶した。


「ではダニーさん。つかぬ事をお伺いしますが貴方にはご家族は?」


「いや・・・居ない。もし居たら仕事辞めるなんて言えば一騒動あっただろうな」


差し出した右手の居心地の悪さを頭を掻くことで補いつつ苦笑いする大男。彼は見た目と反して少々シャイなようだ。


「でも何でそんな話を?あんたの聞きたい事はうだつ上がらぬ俺の身辺調査じゃ無いだろ?」


拭き終えた眼鏡を再び掛けなおし、ダニーに少し淋しそうな目を向けながら男は口を開いた。


「良かった・・・それならば少しは私も救われます。私はあなたに残念なニュースもお伝えしなければならなくなってしまいました・・・あなたを今、不合格と判断した事についてです」


「・・・それはどういう意」


言いかけた処でダニーの右手からカップがこぼれ落ちる、滝の様な脂汗と震えに思わずひざをつく。


「残念です、ダニーさん。あなた程健康に気遣われて居る方がまさか心不全でお亡くなりになるなんて」


「な・・・コーヒーに・・何を・・・入れやがった・・・」


それ以上は答える事なく終始無表情で荷物を纏め部屋を後にする初老の男、彼の立ち去るドアの音を最後に長い静寂だけが部屋を支配した。

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