反省はしている。

妄想・性癖・思い込みを色濃く含んだ不甲斐無い創作物集です。
充実した無駄な時間を過ごしたい時に。

youtubeで楽曲挙げたりFacebookやってたりなんかもします。
各サイトで『キジマタク』を検索頂ければニョロっと出てくるようです。

カマボコ板

ワタクシ、幼少の頃よりどうしても好きで好きでたまらぬモノがあるのですよ。
皆様、カマボコはお好きですか??


ワタクシは……カマボコ板が……大好きなのです。
ワタクシは……カマボコ板を……愛して居るのです!!


そう、表札に使って良しっ!壁に並べ貼りつけアートを名乗って良しっ!……面子として使えば連戦連勝、そんじょそこらの画用紙とは格が違うのです!!
……中でもワタクシのお薦めは、そう、こんな板張りの床…そう、コチラにカマボコ板をそっと落としてみて下さい。


………カランカラン。


……素敵な音色です。
喧騒とした日常から一線を画した哀愁と余韻。
その中に確かな力強さと包容力を兼ね揃えた、何処かノスタルジックな懐かしさをも携えたこの音色。


……彼女だけなんです。ワタクシにとって。


ワタクシには夢があります。カマボコ板と言う名の彼女達を集めて大きな船を作ろう……大海原へ漕ぎだし、太平洋のど真ん中で、思う存分、


カランカラン、カランカラン


と、彼女達の甘美な音色を打ち鳴らそう。


私は走った、近所のスーパーへ。


『カマボコ、全部下さい』


…レジのお姉さんの目は笑って無かった!近所のおばちゃんの目はむしろ怒ってた!!
私は振り向かなかった、全ては彼女と大海原の為だと思うと……不思議と勇気が湧いてきたのです。


……そこからが、本当の闘いでした。


彼女の上に図々しくも乗っかってるカマボコを全て引き剥がし、欠片も残さず食さねばならぬ!
……私は食べた……来る日も来る日も、朝・昼・晩、雨の日も、風の日も、プッチンプリンのCMの誘惑にも負けず!
……何時しか私はカマボコを噛む事すら不愉快に思え、奴等を丸呑みにしてやった。


……苦しかった。


苦しさの余り夜の街へ飛び出し罪の無い人達を傷付けた。
好きでも無い女と一夜を共にした事もあった。
でも……誰もカマボコ板の変わりにはならなかった、カマボコ板と私のココロの隙間を埋めるモノは何処にも存在しなかった!!


……何時しか、私の体のホトンドは原料のスケソウダラで一杯になっていた。
私には…もう一つの夢があったのです。
『産まれ変わったら、マンボウになろう』…と。
しかし、今の私はそのホトンドが私の憎むべきスケソウダラ!!


……私の信念を継ぐ者達へ。


夢は輪廻、
私はきっともうじきあなたの憎むべきスケソウダラとなってあなたの愛すべきカマボコ板の前に立ちはだかる事でしょう。


……大丈夫。


あなたの哀しみはワタクシが全て引き受けましょう。
ただ、こんな私からあなたに一つ、せめてものお願いがあるのです。


……私の背中に、ワサビを塗らないで欲しい。
それが……夢敗れ、恋敗れたあなたの意志を先駆けた一人の悲しい男からの……最後のお願いです。

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